研究計画の公開

課題名:JHEQによる人工股関節置換術の評価

研究の意義と目的

  • 人工股関節全置換術(THA)前後の股関節機能評価として、日本では日本整形外科学会股関節機能判定基準(JOA score)が使用されてきた。この評価法は患者ではなく、医療従事者あるいは研究者が判定するものであった。日本整形外科学会股関節疾患評価質問表(JHEQ, Japanese Orthopaedic Association Hip Disease Evaluation Questionnaire)は、最近日本で開発された患者立脚型評価法であり、痛み、動作、メンタルの3つの質問構成因子を含んでいる1)。THAの有用性を評価する上で重要な項目のひとつは、股関節機能に対する患者満足度である。しかし、JHEQスコアの術前術後の改善が、THAによる患者満足度改善と相関するか否かは明らかになっていない。この研究の目的は、JHEQで評価した痛み、動作、メンタルの改善が、患者の満足度に相関するか否かを明らかにすることである。これが明らかになることによって、JHEQをTHAのoutcome評価として用いることの妥当性が保証される。

研究の方法:

  • 本学単独の疫学研究(観察研究)である。
  • 対象(被験者の選定方針、除外基準):2010年1月から2011年11月までに帝京大学病院でTHAを受けた症例のうち、1年以上経過を追跡できた患者を対象とする。目標症例数は50例である。除外基準は、術前あるいは術後にJHEQ質問票を記入していない患者、術前あるいは術後のJHEQ質問票で未記入の項目がある患者である。術前JHEQは、THAの1〜7日前に患者さんがすでに記入してある。術後JHEQは、外来経過観察時(術後1あるいは2年)に記入していただく。股関節機能に対する患者満足度は、VAS scale (10cm)で評価するものであり、JHEQ質問票に予め添付されている。
  • JHEQスコアの術前・術後の差(増加点数)をスコア改善と定義する。股関節機能に対する患者の満足度はVAS(完全に満足が0、全く不満であるが100)で評価し、術前・術後の差(減少量)を股関節満足度改善と定義する。
  • 解析方法:統計解析では、股関節満足度改善を結果変数とし、JHEQスコア改善を説明変数として、重回帰モデルのあてはめを行う。各説明変数の有意水準は5%とする。

研究機関:帝京大学整形外科

問い合わせ・苦情等に対する連絡先:研究責任者(整形外科教授、中村茂)へ電話で連絡する。窓口は、整形外科医局秘書(電話 03-3964-4097)とする。