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研修医と学生の皆様

各専門診の紹介


肩関節診

スタッフ

伊藤 正明 (准教授)
東 敦
宜保 俊一

肩関節診の紹介

診療日:金曜日午後

肩関節診は、肩関節に障害を持つ患者さんを専門的に診察している特別診です。
肩に痛みがある方、肩関節がゆるい感じで何度も外れて困っている方を特に対象にしています。


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関節鏡について

患者さんの中には胃カメラを行ったことがある方がたくさんいらっしゃるでしょう。胃の状態が悪い場合胃カメラを使って胃の内部の状態を確認します。これの肩バージョンと思っていただけるといいと思います。 この手技は関節鏡を肩関節の中に挿入し直接内部を観察します。この時病変部があれば、別の孔から操作する器械を入れてカメラを見ながら手術を行います。

これが手術を行っている様子です

この図は、肩の周りの筋肉を後方から見た図です。
は三角筋という肩周囲の大きな筋肉です。関節鏡を使用しない手術の場合この筋肉を大きく傷めてしまい、強い疼痛が生じリハビリテーションを遅らせます。そこで関節鏡の登場です。

これが関節鏡です。関節鏡は直径約5mmの細い棒状のカメラです。カメラの画像はモニターに映し出されます。 皮膚に5mm程の孔を開けるだけで、カメラを関節内に挿入できます。そして関節内の状態を観察することができます。

上の写真は関節鏡で手術をしている様子と実際の画面です。孔を追加するだけで、手術用の器具を挿入して関節を切開することなく病変部を修復することが可能になります。


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肩関節診で取り扱う病気

肩関節は体重がかからない非荷重関節ですが、他の関節より頑固な疼痛を伴う場合があります。 ここでは肩関節疾患の代表例を示します。

◇肩が痛くて挙げることができない・夜肩が痛くて眠れない⇒肩関節周囲炎・腱板断裂

◇肩が外れそう・以前に肩関節の脱臼をしたことがある  ⇒反復性肩関節脱臼

これらの疾患について説明します。

いわゆる五十肩(肩関節周囲炎)

「最近肩が痛くて手が上がらないのよ。」「それって五十肩じゃない?」そんな会話をよく耳にします。一般的に中高年の肩痛を五十肩と言います。五十肩と言う言葉は1800年前後、俗語集「俚言集覧」の中に五十腕・五十肩という言葉が使われているのが起源と言われています。特に40歳代から50歳代の人に多く起こるのでこう言われていたようです。その後病態の研究が不十分であったので通俗的病名として使われてきました。

最近では痛みがあって肩の拘縮があるものに限って"五十肩"と言っています。痛みだけでは五十肩とは言いません。

肩関節周囲炎とはどんな病気なのでしょうか?

肩関節の周りの関節包(関節の袋)・筋・腱・靭帯の炎症を全部含めて肩関節周囲炎と言います。誘因としては外傷、職業・スポーツによる使い過ぎ、長期の固定、心因性障害や糖尿病等の疾患によるものなどがあります。症状は夜寝ると痛くて目が覚めてしまったり(夜間痛)、肩が痛くて腕が上がりにくくなったり、髪を結ったり服を着替えたりといった日常の動作が不自由になるのが特徴です。完全に症状が消失するまでは6〜12ヶ月程かかることもあれば、もっと早いこともあり必ずしも一定ではありません。

治療は?

治療は消炎鎮痛剤の内服やリハビリを中心とした保存的治療をまず行います。初期の痛みが強い時は、炎症を止めるステロイド剤や滑りをよくするヒアルロン酸を関節内に注射します。リハビリの基本は、肩を温める温熱療法と肩の動きをよくする運動療法が中心になります。 自分勝手に肩を動かすとかえって炎症が強くなり、逆効果になりかねません。また、五十肩に似たような症状を出す病気に筋肉の損傷である腱板断裂や石灰沈着性腱炎という病気があり、五十肩とは治療方法が異なりますので注意が必要です。最近では専門医の診察とMRIで肩の状態がかなり判るようになってきています。また前述した肩関節鏡の進歩で大きく切らずにカメラで手術をすることで、低侵襲で良い成績を収めています。五十肩は何も治療しなかった場合約半数の人が肩の動きが悪いままになったり、肩こりが治らないなど何らかの症状が残ってしまいます。長期間肩拘縮がある場合は鏡視下に関節包を切離する手術を行うこともあります。

腱板断裂

肩を挙げるのに必要な筋肉は大きく二種類に分かれます。
一つは三角筋(下図のD)や大胸筋に代表されるアウターマッスル(外側の筋群)です。この筋群は直接肩を触ると皮膚の下に筋肉を触れます。

もう一つがインナーマッスル(内側の筋群)といわれている筋群、これが腱板(下図のRC)です。これら二つの筋群が一緒に動いて肩を挙上します。

腱板は上腕骨と肩峰(A)に囲まれたせまい所を通るため、ストレスを受けて炎症を起こしやすい特徴があります。外傷を受けたり、ストレスを受け続けると腱板が切れてしまいます。
これを腱板断裂と言います。そうすると下図のとうり引っかかり肩の挙上ができなくなります。

それではどのような検査をするのでしょうか?

肩の中にある筋肉を診るには、MRIが有用です。MRIは痛みも無く、30〜40分寝ているだけで撮影が出来る検査です。レントゲンでは、骨しか写ってきません。しかしMRIでは腱板の状態を観察する事が出来ます。矢印の部分は腱板の断裂部です。

どのような治療をするのでしょうか?
1.保存的治療(手術をしない治療)
初めはこの治療を行います。高齢者の場合や内科的な病気で手術が難しい場合は特にそうです。
  • 薬による治療;飲むお薬、シップや塗るお薬で痛みを和らげます。
  • 注射による治療;軟骨の栄養剤と炎症を抑える薬を注射します。
  • リハビリによる治療;ホットパックやお風呂で充分暖めた後で、関節が硬くならないように肩を動かす運動、腕の振り子運動、腱板の筋肉トレーニングを行います。

それでも肩の痛みが取れない・肩があがらなければ……

2.手術的治療
剥がれた腱板を元の位置に縫い付けます。さらに屋根である肩峰に腱板がぶつからない様に肩峰の一部を削ります。

これらのことを鏡視下(カメラ下)で行います。

 

特殊なアンカー(螺子のお尻に糸がついている)で縫合

鏡視像


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反復性肩関節脱臼

肩関節は非常に可動域が広い関節ですが,そのために逆に不安定であり人体の中で最も脱臼することの多い関節です。肩関節脱臼は肩関節の不安定感が主な症状です.肩関節を挙上や外転したときに不安感を訴えます.脱臼時には痛みがありますが整復されると痛みはありません。

どうして何度もはずれるのですか?

肩の関節は、玉と受け皿の関係になっています。肩甲骨の関節窩が受け皿、上腕骨頭が玉の形になっています。

通常では,肩甲骨の関節窩を取り囲む関節唇と呼ばれる軟骨や,関節包の内側にある靱帯,腱板筋(肩甲下筋,棘上筋,棘下筋,小円筋)などの働きにより上腕骨頭が安定して運動しています.しかし,転んで手をついたり,スポーツ中に腕を引っ張られたりすることで肩関節の脱臼が生じます。

ほとんどは前方に脱臼しますが,このとき前方の関節唇や靱帯ときには関節窩の骨までも損傷します。また関節窩縁と衝突するために上腕骨頭の軟骨・骨の損傷も生じます.このために一度脱臼が生じると軽微な外傷などで肩関節が繰り返し脱臼するようになります

これ以外に元々体全体の関節が柔らかく(特に若年の女性)、肩関節脱臼を繰り返す人がいます。この場合一部損傷病変があるわけではなく、肩関節全体が柔らかく脱臼するケースです。

それではどのような検査をするのですか?
1.レントゲン
明らかな脱臼を呈しています。

2.MRI
肩の関節にMRIに写る造影剤を関節の中に注入して撮影します。

3.CT
骨がどの程度欠けているか見極めます。

どのような治療をするのでしょうか?

手術をしない方法(保存的治療)と手術をしてなおす方法(手術的治療)があります。

1.保存的治療(手術をしない治療)
肩関節の周囲の筋肉を鍛える、筋力トレーニングを行います。
しかし、これでは安定感が得られないケースがほとんどです。
しっかりした安定感を得るには、損傷部位を手術を行って修復するしかありません。
2.手術的治療
鏡視下バンカート法という方法を行います。
これは鏡視下で行うため、周りの筋肉は傷めずに手術を行うため術後の回復は早く良い手術です。3,4個のスーチャーアンカーという固定材料を用い、損傷した部分を修復します。

これらのことを鏡視下(カメラ下)で行います。

入院期間は最短で3日です。早ければ数日以内に事務仕事には復帰できます。3週間の三角巾による固定を行った後リハビリテーションを行います.スポーツ活動,重労働への復帰は術後6ヶ月以降になります.

以上各疾患に関して簡単に説明いたしました。


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