研修医と学生の皆様

肩関節診

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スタッフ

伊藤 正明 (客員准教授)
渡部 一之
塚田 圭輔

肩関節診の概要

診療日
毎週金曜日 午後
隔週火曜日 午後
各週土曜日 午前(学会等で変更になります。お問い合わせ下さい)

肩関節診は、1997年に設立された肩関節周囲の疾患に対して、専門的に診察・治療を行っている特別診です。

肩関節は昔より特別な関節と考えられています。その例が四十肩・五十肩です。特に肩は夜間痛が特徴で、治療に難渋します。他の関節にはない病態です。肩に痛みを感じる疾患としては、腱板断裂もあります。この疾患は手術的治療の適応となります。

肩関節診は、このように疼痛を感じる疾患だけが対象ではありません。スポーツなどで肩関節が脱臼した場合や投球障害なども当専門外来で診察しています。

診察内容

当院では、手術適応となる疾患の殆どに対し、関節鏡を使用した手術を採用しております。

関節鏡について

関節鏡とは、関節鏡は直径約5mmの細い棒状のカメラです。皮膚に5mm程のポータル(穴)を開けるだけで、カメラを関節内に挿入できます。そして関節内の状態を観察することができます。

カメラの画像はモニターに映し出されます。(関節鏡の写真入れる)
術者は別のポータルから操作する器械を入れて関節鏡の画像を見ながら手術を行います。

何といってもこの手技の利点は、ポータルを開けるだけで外側の筋肉を痛めずに手術用の器具を挿入して病変部を修復することが可能になります。侵襲が少なく、復帰が早い非常に良い手術方法です。

肩関節診で取り扱う病気

肩関節は体重がかからない非荷重関節ですが、他の関節より頑固な疼痛を伴う場合が多いです。
ここでは肩関節疾患の代表例を示します。

肩が痛くて挙げることができない・夜肩が痛くて眠れない
⇒肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)・腱板断裂
肩が外れそう・以前に肩関節の脱臼をしたことがある。その後何度も外れる。肩が不安定である。
⇒反復性肩関節脱臼

肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)

「最近肩が痛くて手が上がらないのよ。」「それって五十肩じゃない?」そんな会話をよく耳にします。一般的に中高年の肩痛を五十肩と言います。40歳代から50歳代の人に多く起こるのでこう言われていたようです。

この五十肩は俗称で、正式には肩関節周囲炎といいます。肩関節周囲炎とはどんな病気なのでしょうか?

肩関節の周りの関節包(関節の袋)・筋・腱・靭帯の炎症を全部含めて肩関節周囲炎と言います。原因としては職業・スポーツによる使い過ぎ、長期の固定、外傷、心因性障害や糖尿病等の疾患と関係するものがあります。症状としては夜間に痛くて目が覚めてしまったり(夜間痛)、肩が痛くて腕が上がりにくくなったり、髪を結ったり服を着替えたりといった日常の動作が不自由になるのが特徴です。完全に症状が消失するまでは6~12ヶ月程かかることもあれば、もっと早いこともあり必ずしも一定ではありません。

治療は消炎鎮痛剤の内服やリハビリを中心とした保存的治療をまず行います。初期の痛みが強い時は、炎症を止めるステロイド剤や滑りをよくするヒアルロン酸を関節内に注射します。症状が長期間に及ぶと肩の動きが悪くなります。これを肩拘縮と言います。肩拘縮がある場合は鏡視下に関節包を切離する手術を行うこともあります。

腱板断裂

正常な肩の動きを示します。

肩を挙げるのに必要な筋肉は大きく二種類に分かれます。
一つは三角筋や大胸筋に代表されるアウターマッスル(外側の筋群)です。この筋群は直接肩を触ると皮膚の下に筋肉を触れます。
もう一つがインナーマッスル(内側の筋群)といわれている筋群、これが腱板です。これら二つの筋群が同じに動いて、肩を挙上します。

腱板は上腕骨と肩峰に囲まれたせまい所を通るため、ストレスを受けて炎症を起こしやすい特徴があります。外傷を受けたり、ストレスを受け続けると腱板が切れてしまいます。
これを腱板断裂と言います。そうすると上図のとうり肩峰に、引っかかり肩の挙上ができなくなります。

それではどのような検査をするのでしょうか?

MRIと超音波が有用です。
MRIは痛みも無く、30~40分寝ているだけで撮影が出来る検査です。レントゲンでは、骨しか写ってきません。しかしMRIでは腱板の状態を観察する事が出来ます。矢印の部分は腱板の断裂部です。


超音波画像


MRI画像

どのような治療をするのでしょうか?

保存的治療で改善しない症例は、手術となります。
当院ではほぼ全例関節鏡を用いて行います。
当院では、本術式で行います。この手術ならば20~30分で終了します。

この図の様に腱板を縫合します。

これが実際の関節鏡の手術写真です。

このように糸を使って腱板が骨頭に縫着されています

リバース型人工関節置換術(RSA)

肩の挙上が出来なくて困っている患者様はいらっしゃいませんか? この方法は数年前に新たに承認された新しい治療法です。広範囲の腱板断裂や、上腕骨近位端粉砕骨折などで最終手段として行う手術となります。通常の解剖学的な構造と異なり肩甲骨に球を、上腕骨側に受け皿を設置します。 また、執刀医は肩関節手術の手技に習熟した条件を満たした者のみと条件が付いており、当院の肩関節診の医師は全員条件を満たしております。


人工関節の写真(実際のインプラント  術後レントゲン)

当科では、可動域が良くなるように通常切る腱を切らずに手術を行い良い成績を上げています。

患者さんの屈曲の様子です。日常生活には問題ない屈曲が可能になっています。

反復性肩関節脱臼

肩関節は非常に可動域が広い関節ですが,そのために逆に不安定であり人体の中で最も脱臼することの多い関節です。肩関節脱臼の問題は、何度も繰り返してしまうことが問題です。複数回脱臼を繰り返すと、肩関節の不安定感という症状が出ます。この場合は、手術治療になります。
当科では、スポーツの種類に応じて術式を選択して行っています。

鏡視下バンカート術

一般的に汎用されている術式ですが、当科ではできるだけ強固な固定をするために太いテープを二重織りにして行う術式を採用しております。手術時間も30分程度で終了します。

鏡視下バンカート術

このようにテープを二重折りにしてしっかり、強固に関節唇をホールドして関節窩に縫着します。

実際の手術写真です。

剥がれた関節唇を太いテープを使ってホールドして、そのテープをアンカーを使って関節窩に打ち込む形で縫着します。

肩診の臨床研究活動

我々は日々の診察の中で疑問や問題と考える事を、研究し学会にて発表しております。
以下が最近行っている研究・発表です。

1)腱板断裂における、固定期間に関する研究

通常、腱板断裂の術後は3~6週間固定しています。この固定期間は本当に必要でしょうか?
この疑問を解決する為に、早期リハビリテーションプログラム(1週固定)にて後療法を行いました。その結果は通常の固定期間と全く変わらない成績であった。つまり3週の通常固定は必要が無いことが解りました。

2)強固な固定を目指した、肩関節脱臼に対する鏡視下手術に関する研究

肩関節脱臼の一番の合併症は再脱臼である。我々はこの合併症を0%にするために術式や後療法の工夫を行っています。術式の工夫としては、出来るだけ初期固定強度を増すために、強度の高いテープをしかも二重折りにして使用している。この術式は我々が新しく開発した術式で、手術時間も手術時間も30分程度で終了する画期¥的な術式であると思います。

3)肩甲下筋を温存したリバース型人工肩関節置換術

人工関節の侵入方法は、 大胸筋―三角筋間侵入で肩甲下筋を一度剥離して行うのが通常であります。この時に問題なのは剥離を再度修復した肩甲下筋が本当に機能するかという点です。一度剥離した筋は筋力が落ち、また修復部が修復するかも不明な術式は不安が残ります。そこで我々は、肩甲下筋を剥離しない術式を考案して行っています。成績は内旋の可動域が、通常の術式より改善するのみならず屈曲、外旋も改善していることが解かりました。

以上のような研究を行っています。