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研修医と学生の皆様

各専門診の紹介


腫瘍診

スタッフ

阿部 哲士(准教授)
時崎 暢
三木 勇治
佐藤 健二

診療内容

診察日:木曜午後、金曜午後
対象疾患:骨・軟部腫瘍疾患

頭部や皮膚、内臓以外の組織(骨、軟骨、関節、脂肪組織、筋肉、血管、神経など)に発生する腫瘍疾患を扱っています。

良性骨腫瘍(骨軟骨腫,内軟骨腫、骨巨細胞腫,類骨骨腫他)
悪性骨腫瘍(骨肉腫,ユーイング肉腫,軟骨肉腫,転移性骨腫瘍 <がんの骨転移>他)
良性軟部腫瘍(脂肪腫,血管腫,神経鞘腫,腱鞘巨細胞腫 他)
悪性軟部腫瘍(脂肪肉腫,悪性線維性組織球腫,滑膜肉腫 他)
診療業績:登録症例は既に3000例を越えており、新規登録患者数は年間約100例です。

診断:骨・軟部腫瘍は扱う腫瘍疾患が多彩であるため診断が困難な症例も少なくありません。正しい診断の為には様々な画像検査(レントゲン検査、CT,MRI、シンチグラム)、血液検査、病理組織検査(腫瘍組織を顕微鏡レベルで診断)、遺伝子レベルでの診断などが必要となります。

これらの検査所見から正確な診断に達するためには、骨・軟部腫瘍に詳しい放射線診断医や病理診断医の協力が重要です。当院では骨・軟部腫瘍に詳しい放射線診断医や病理診断医と密な連携のもと診療を行ってます。また、診断困難例などは整形外科―病理―放射線科の合同カンファレンス(CPC)を行っております。また、近郊の大学などと合同症例検討会にも積極的に参加してます。

日本整形外科学会では骨・軟部腫瘍の見落としを無くすため、骨・軟部腫瘍の専門講習会の参加を専門医取得のために義務付けています。骨・軟部腫瘍の専門知識は整形外科専門医として必須の知識でありますが、臨床経験がなければ中々難しく感じられ習得しにくいものです。しかし、安易な診療による不適切な対処が大きな医療事故となってしまう領域でもあり、是非一度は研鑽しておくべき分野と考えます。

治療:治療方針は上記診断の後に患者さんと話し合い決定されます。治療方針や手術術式は単一のものではありません。

良性腫瘍:腫瘍切除術が主でありますが、手術の適応、切除方法、時期、再建方法(人工骨か自家骨か、等)補助的治療(凍結手術など)の有無などは疾患により異なります。

悪性腫瘍:手術療法・化学療法・放射線療法を選択・併用して治療を行います。

手術(図:手術)は腫瘍を広範囲に切除する事が第一でありますが、当科の腫瘍診の特色は出来る限り患肢を温存し、よりよい患肢機能を再建する事です。この為に、適応のある症例には積極的に術前化学療法・抗癌剤温熱局所灌流術(図:抗癌剤温熱局所灌流術)・温熱放射線治療等による局所腫瘍の縮小・制御を計ります。さらに腫瘍切除後の再建方法として、従来の腫瘍用人工関節置換術のみでなく脚延長術や血管柄付骨移植・筋皮弁術などの他の専門医との協同した再建手術(図:脚延長術併用再建術)を行ってます。

昨今癌治療の専門医療が求められてます。悪性腫瘍の治療には他科と共同した集学的治療が大切であり、腫瘍専門医は幅広い臨床知識が必要となります。整形外科領域の知識のみならず癌治療全般にわたる知識を得るために、積極的に関連領域の学会(癌治療学会、感染症学会)にも参加しております。

また、当教室では長年にわたる骨軟部腫瘍の専門診療業績をもとに、多くの臨床研究の成果を国内外に発信しております。

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腫瘍診グループの臨床研究活動

骨軟部腫瘍の疾患範囲は広く、診断・治療などの臨床研究や基礎研究からは膨大な知見が得られております。しかし,症例数の少ない骨軟部腫瘍の領域では未知の問題が山積しております.
我々の腫瘍診グループの研究活動は、主に臨床活動を基盤とした臨床研究を主体としてます。

臨床研究

診断精度の向上:放射線医と病理医との共同連携による診断精度の向上を研究目的としてます。骨軟部腫瘍の領域では症例数が少なく、医学の進歩に伴い既存の疾患概念の再編や、新たな疾患概念の確立などが散見されます。このため正しい疾患概念の確立が診断精度の向上には不可欠であり、臨床症例の蓄積と解析は重要な研究課題であると考えております。

治療成績の向上:

悪性骨軟部腫瘍に対して抗癌剤化学療法・抗癌剤温熱局所灌流術・温熱放射線治療等による局所腫瘍の縮小・制御が大きな研究課題です。また、生命予後向上のためには、全身化学療法を含む適切な集学的治療を研究しております。また、整形外科は運動器疾患であり、機能再建も重要であり、腫瘍切除後の機能再建成績の向上も主要な研究テーマです。
また、他大学との共同臨床研究も積極的に多数行い、国内外に多くの新知見を発信しております。主な共同研究母体として、JCOG(Japanese clinical oncology group)やJMOG(Japanese musculoskeletal oncology group)、放射線医学研究所(重粒子線治療)など日本発の臨床医学研究の参加協力施設であります。

基礎研究:

骨軟部腫瘍は症例数が少なく、臨床検体は貴重なものです。蓄積された貴重な臨床検体を解析し、臨床診療に反映できるような研究を重要視してます。現在は、病理組織学的研究を基盤とした、遺伝子解析研究を行ってます。
主な研究テーマは、抗癌剤化学療法感受性、骨軟部腫瘍の網羅的遺伝子解析、骨軟部肉腫の予後因子の解析などです。これらに研究は、当大学病理学教室をはじめ、他大学の研究機関とも提携して行っております。
また、基礎研究で無く、臨床研究を目的とした海外留学にも積極的に派遣しています。

図:手術

腫瘍の手術は術前診断がもっとも大切です。腫瘍の性質・広がりを把握し、適切な術前計画が必要です。術前画像診断や術前・術中病理診断などの放射線科や病理医との連携が大切です。


図:抗癌剤温熱局所灌流術

当院では、膝関節近傍の肉腫に対して抗癌剤併用温熱局所灌流術を行っています。温熱局所灌流術は、大腿動静脈をカニュレーションしてから下肢血流を遮断し人工心肺回路を用い加温しつつ抗癌剤を灌流する手技です。良好な局所腫瘍の制御が得られ、患肢温存手術の成績向上に貢献してます。

腫瘍切除後の再建術式

腫瘍切除後の再建は、さまざまな方法があります。症例に応じて再建術式を選択するためには、単一のチームでは限界があります。他のsubspecialityをもつ整形外科と協力して、さまざまな再建術式を発展させております。

  1. 大腿骨癌転移
  2. 人工骨スペーサーと髄内釘を用いた再建術
  3. 大腿骨遠位骨巨細胞腫病的骨折例:通常の内固定材料では再建が困難な症例である。
  4. 脚延長術併用再建術:腫瘍切除後の欠損部を短縮させ、創外固定により健常部で脚延長を行いました。
  5. 脚延長終了後:骨欠損の再建と脚長の回復を達成できます。

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